状況
小学 5 年生の女の子。低学年のころから成績表はいつも良好で、家庭学習を特別に管理しなくても、宿題は自分で終わらせるお子様でした。保護者の方も「自主性がある子だから」と、学習内容には深く関わってこなかったそうです。ところが 5 年生の秋、初めて算数のテストで 50 点台を持ち帰りました。分数のわり算、割合の単元でした。ご本人は「なんでできないのかわからない」と戸惑っていたといいます。
家庭で試したこと
保護者の方は「まぐれでしょう」と当初は流されました。しかし冬休み明けのテストも振るわず、通知表にも変化が出始めました。慌てて教科書を見返しても、内容が保護者ご自身の記憶とも違い、どこから手をつけていいかわからない状態だったそうです。これまで学習に関わってこなかった保護者の方が、いきなり並走しようとしても、お子様は「今さら何?」と反発してしまいました。
転換点
転換点は、「教える」のではなく「一緒に困る」姿勢に変えたことでした。「お母さんも一緒に教科書を読み直したい。よくわからないところがあったら一緒に考えよう」と伝えたそうです。指導ではなく共同作業に位置づけを変えたことで、お子様も素直に教科書を開くようになりました。さらに、これまで見過ごしていた「基礎の確認」を意識的に行いました。5 年生の算数は、分数・小数・割合・比・図形と、4 年生までの内容が複合的に絡み合います。どこか一つでも曖昧なままだと、上の学年で急に崩れます。
結果と学び
3 ヶ月ほどで、テストの点数は 8 割台に戻ったそうです。「自然にできる子」は、実は "低学年の内容が易しかっただけ" というケースも少なくありません。高学年で内容が複合化したときに、初めて基礎の穴が表面化します。子どもが困る前から、時々一緒に教科書を眺める時間を作っておくことが、静かな備えになります。