状況
小学 3 年生の男の子。国語と理科は好きで、読書量も豊富。ところが算数だけは「見るのも嫌」というほど強い拒否反応がありました。特にわり算の単元に入ってから「わからない」を連発し、宿題プリントを机の奥に隠すようになったそうです。保護者の方は「そのうち追いつくだろう」と様子を見ていましたが、2 学期の懇談で「算数の理解が遅れ気味です」と担任から伝えられ、初めて事の深刻さに気づかれました。
家庭で試したこと
最初に取り組まれたのは、市販のドリルを買い足すことでした。しかしお子様は「これもできない」と手が止まり、ドリルが増えるほど嫌悪感も増していったといいます。次に個別指導塾を検討されましたが、体験授業でお子様が萎縮してしまい、通うには至りませんでした。嫌いな教科に「量」で対処するアプローチは、しばしば逆効果になります。すでに苦手意識が強い状態で問題を増やすと、「できない自分」を確認する時間が増えるだけだからです。
転換点
転換点は「学年をさかのぼる」勇気でした。3 年生のわり算につまずいているのなら、2 年生のかけ算、それでも詰まるなら 1 年生の数の合成分解まで戻る。プライドが傷つくのではと保護者の方は心配されましたが、実際には「これならできる」という感覚を取り戻すことで、お子様の表情が明らかに変わったそうです。具体的には、10 分でできる易しい問題を毎日 1 枚だけ。「できた」を積み重ねる期間を 2 週間ほど設けてから、少しずつ現在の学年に戻していきました。
結果と学び
3 ヶ月ほどで、算数の宿題を隠すことはなくなり、「わり算のここがわからない」と自分から言えるようになったそうです。苦手教科は「今の学年」で追い込むのではなく、「わかる地点」まで戻ってから積み直すほうが結果的に近道でした。中学年は、苦手を放置しない最後のチャンスの時期でもあります。