なぜ関係代名詞は難しく感じるのか
「the book that I read yesterday(昨日私が読んだ本)」を訳すとき、多くの中 3 生徒が最初に戸惑うのは、日本語と英語で語順が完全に逆になることです。日本語では「昨日私が読んだ」が「本」の前に来ますが、英語では「本」の後ろに「私が読んだ、昨日」が続きます。
関係代名詞のつまずきには、実は 2 つの難しさが同時に含まれています。1 つ目は「文が長くなる」こと。それまでは主語+動詞+目的語の短い文しか扱っていなかったところに、修飾節が入ることで一気に文が伸びます。2 つ目が「修飾の順序が日本語と逆」で、後ろから修飾する感覚が身についていないと、文の意味が組み立てられません。
この 2 つが同時に来るため、生徒は「何が主語で何が動詞かも分からなくなる」状態に陥りがちです。関係代名詞そのものが難しいというより、「長い文を処理する経験」と「後置修飾に慣れる経験」の 2 つが不足していることが本質です。
日本語の修飾は「前から」、英語の修飾は「後ろから」
関係代名詞を理解する前段として、修飾の方向の違いを意識しておくと、後の理解がスムーズになります。
- 日本語(前置修飾): 「赤い本」「昨日買った本」「机の上にある本」
- 英語(短い形容詞は前置、長い修飾は後置): 「a red book」「the book I bought yesterday」「the book on the desk」
英語では、1 語の形容詞は名詞の前に置きますが、2 語以上の修飾(前置詞句、関係代名詞節、分詞など)はすべて名詞の後ろから修飾します。この「長い修飾は後ろ」というルールは、関係代名詞に限らず、英語全体の骨格を貫くルールです。家庭で関係代名詞を扱う前に、前置詞句の後置修飾(the book on the desk)を復習しておくと、関係代名詞への抵抗が減ります。
「前から訳す」練習の具体的な進め方
長い文を意味を取りながら読むには、日本語に完璧に訳そうとしないことがポイントです。「the book / that I read / yesterday」のように、意味のかたまりごとに区切って、前から順に処理する読み方を練習します。
- 英文にスラッシュを 3〜4 か所入れる: The girl / who is standing / at the door / is my sister.
- かたまりごとに日本語を当てる: 女の子 / 立っている / ドアのところに / 私の姉です
- 意味が取れれば OK。日本語の並びは気にしない
この読み方は「返り読み」(英文を後ろから前へ戻って訳す読み方)を防ぐためのもので、長文読解の基礎技術としても定着します。中 3 の 2 学期以降、教科書の本文がぐっと長くなる時期に効果を実感しやすい練習です。
関係代名詞の 3 つの型を最初に整理する
英語の関係代名詞には、大きく 3 つのパターンがあります。最初に全体像を掴んでおくと、単元ごとの学習が混乱しません。
- 主格: the book that is on the desk(that が「is」の主語)
- 目的格: the book that I read(that が「read」の目的語)
- 所有格: the boy whose name is Ken(whose が「name」を修飾)
見分け方は、関係代名詞の後ろに何が続くかで判別します。動詞が続けば主格、主語+動詞が続けば目的格、名詞が続けば所有格です。この 3 パターンを表にして家庭で貼っておき、教科書に出てきた関係代名詞がどの型かを毎回確認する習慣をつけると、判別のスピードが上がります。
なお、目的格の that は省略可能で、「the book I read yesterday」のように that が消えている文にも慣れておく必要があります。省略された that を「見えないけれどある」と補って読む感覚は、長文読解で頻繁に使う技術です。
家庭でできる補強法: 短い英文で「後ろから修飾」を体感する
いきなり教科書の長い文で練習すると、意味を取ることに疲れてしまいます。最初は 5〜7 語の短い文で、後ろから修飾する感覚を身につけるほうが効率的です。
- 短い文を書く: I have a friend.
- その friend について情報を追加: I have a friend who lives in Osaka.
- さらに情報を追加: I have a friend who lives in Osaka and studies music.
このように、シンプルな文に少しずつ情報を積み上げていく練習を、1 日 3 文だけ続けると、「後ろから修飾を足す」感覚が体になじみます。作った文を音読して、意味が前から順に頭に入ってくることを確認すると、読解にもそのまま生きます。
つまずきを再発させないために
関係代名詞は中 3 で学ぶ単元ですが、高校英語では関係副詞(where, when, why, how)、複合関係代名詞(whoever, whatever)、非制限用法(, which)など、さらに複雑な形に発展します。中学で「後ろから修飾する感覚」が身についていないと、高校英語で一気に苦手意識が広がります。
家庭でメンテナンスするなら、教科書の音読を続けること、そして時々「今読んだ文、どの部分がどの単語を修飾している?」と問いかけることが有効です。答えられなくても、修飾関係を意識する時間を持つだけで、読解の精度が変わってきます。