算数・数学2026-06-25 ・ 約 4 分で読めます

小学算数の「繰り上がり・繰り下がり」を子どもにつまずかせない 3 つのコツ

1 年生の山場「繰り上がり・繰り下がり」の指導で、つまずきが起きやすいポイントと、家庭でのサポート方法を具体例つきで解説します。

GD
Gorilla Drill 編集部
教材編集・カリキュラム設計担当

小学校 1 年生から中学校 3 年生までの家庭学習をテーマに、 現行の学習指導要領に沿った内容で記事を執筆しています。 すべての本文は編集部の書き下ろしで、生成 AI による自動生成は行っていません。 誤りのご指摘・ご意見は お問い合わせフォーム から お寄せください。

小学 1 年生の算数で最初の大きな山となるのが「繰り上がりのあるたし算」と「繰り下がりのあるひき算」です。「8 + 5」「13 - 6」のような問題は、頭の中で 2 段階の処理が必要になるため、それまで指で数えていたお子様にとって急に難しく感じられます。

本記事では、1 年生のお子様がつまずかずにこの単元を乗り越えるために、家庭でできる 3 つの工夫を紹介します。

コツ 1: 「10 をつくる」感覚を体で覚える

繰り上がり・繰り下がりは、突き詰めると「10 のかたまり」を意識できるかどうかにかかっています。たとえば「8 + 5」は、5 を「2 と 3」に分けて、まず 8 + 2 = 10 を作り、残りの 3 を足して 13 とします。この「10 を作る」感覚を、紙の上で計算する前にブロックやおはじきで体験するのが効果的です。

図: 8 + 5 = 13 を「10 のかたまり + 残り」で捉えるさくらんぼ計算の可視化。

市販の「10 のかたまりブロック」や、空き箱に作った 10 マスのトレーが便利です。指でブロックを動かしながら、「あといくつで 10 になるかな?」「10 を作るには 5 を何と何に分ければいい?」を声に出して考える時間を 5 分でも作ると、抽象的な数字の操作が「具体的な動き」として身につきます。

コツ 2: さくらんぼ計算は急がない

学校では「さくらんぼ計算」(数を 2 つに分ける書き方) を習いますが、これを最初から強要するとお子様が混乱します。順序としてはまず「答えが出ること」、次に「正しい考え方ができていること」、最後に「学校の書き方に合わせること」というステップを意識してください。

おはじきや指で正しく答えが出せるようになってから、「これを紙にも書いてみよう」と促すと、さくらんぼ計算が単なる作業ではなく、自分が頭の中でやったことの「翻訳」として理解できます。

コツ 3: 間違いは「やり直し」より「もう一度くわしく」

お子様が間違えたとき、「もう一度やってごらん」と言うだけでは、同じ思考プロセスを繰り返してしまうので同じところで間違えがちです。代わりに「この問題、ブロックでもやってみよう」「指で 1 つずつ数えてみよう」と、より具体的なやり方に戻すのが有効です。

繰り上がり・繰り下がりは「速さ」よりも「確実さ」を優先する単元です。1 日 5 問でも、確実に解けた経験を積み重ねるほうが、後の「2 桁のたし算」「かけ算の九九」へとつながる土台になります。

まとめ

  • 10 のかたまりを「ブロック・指」で先に体験する
  • さくらんぼ計算は答えが出せるようになってから「翻訳」として書く
  • 間違いは「もう一度」ではなく「より具体的なやり方に戻す」

この単元をていねいに身につければ、2 年生の「2 桁のたし算・ひき算」「かけ算の九九」がぐっと楽になります。焦らず、1 日 5 問でも「確実にできた」を積み重ねる期間として捉えてあげてください。

低学年で身につけたい「毎日少しずつ」の習慣づくりについては 「1 日 10 分」の家庭学習習慣 も合わせてご覧ください。書いた数字の桁がずれるなどケアレスミスが多いお子様には ケアレスミス対策の 3 つの習慣 が参考になります。

この記事に関するよくある質問

本記事の内容について、保護者の方からよくいただく質問と、 編集部からの回答をまとめました。

Q. 「さくらんぼ計算」は学校で教わりますが、家庭でも同じやり方に合わせるべきですか?
最終的には学校の書き方に揃える方がテストで混乱しませんが、それは答えが出るようになってからの話です。順序として「ブロックで答えが出る → 意味が説明できる → 学校の書き方に翻訳する」を守ると、書き方だけを先に覚えて意味が抜ける事態を避けられます。
Q. 指を使って計算する癖は、いつまでに卒業させるべきですか?
明確な年齢の目安を示すのは難しく、指を早く外そうとすると暗算の負荷でむしろミスが増えることがあります。10 の合成・分解が頭の中で安定してきた段階で自然に指が離れることが多いので、時期を急かすより「10 になる組合せ(1 と 9、2 と 8…)」を口頭でスラスラ言えるかで判断するのが実務的です。
Q. 繰り上がりは 1 桁でできるのに、2 桁のたし算になると急に間違えます。何が原因ですか?
多くは「1 桁の繰り上がり」自体は理解していても、筆算で桁を揃えることや、繰り上がった 1 を次の位に足し忘れることが原因です。1 桁計算の反復より、マス目ノートで位を揃えて書く習慣を先に整えると、2 桁以降の事故が減ります。
Q. 1 日 5 問だけで、本当に定着するのでしょうか?
短時間の分散学習は、1 回にまとめてやるより長期記憶に残りやすいことが分散学習効果として知られています。ただし「毎日触れる頻度」が前提なので、10 問を隔日でやるより 5 問を毎日続ける方が同単元では有利になりやすいです。
Q. 学校の進度に追いつけずに繰り上がりでつまずいたまま先に進んでしまいました。どこまで戻ればいいですか?
繰り上がり・繰り下がりは「10 の合成・分解」まで戻るのが最短ルートで、9 + 1、8 + 2… の組合せが即答できるかを確認してから当該単元に戻ると、遠回りに見えて結果的に早く追いつけます。担任やスクールカウンセラーに現状の到達点を共有しておくと、学校での声かけも合わせやすくなります。

参考文献・関連する公的資料

本記事で扱った学習内容の位置づけや、根拠となる公的資料へのリンクです。 いずれも文部科学省・国立教育政策研究所・関係省庁など、一次または準一次の情報源です。

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